デンタルニュース

2013.9月号 特集:特集:災害時の口腔ケアを考える

災害時は歯磨きが命綱!?
9 月 1 日は防災の日です。1923 年(大正 12 年)のこの日に起きた関東大震災の教訓を忘れない、という意味と、この時期に多い台風への心構えの意味も含めて 1960 年(昭和 35 年)に制定されました。さて、皆さんは防災用のバックを用意されていますか?その中身はお水、非常食、懐中電灯、トイレットペーパー…etc と様々ありますが、意外と忘れがちなのが、歯ブラシと歯磨き粉、そして入れ歯です!東日本大震災では、入れ歯を忘れた方や紛失した方が多くいらっしゃいました。
避難所ではパンやおにぎりなどの食事が続き、栄養も偏りやすくなります。入れ歯がなければ食事をとることも難しく栄養状態が悪化します。精神的ストレスなども重なり体の抵抗力が落ちてしまいます。そんな時にお口の中を不潔にしていると、細菌が増え、虫歯、歯周病、感染症にかかりやすくなります。特に高齢者は免疫力が落ち、口腔内の細菌を気管へ誤嚥(ごえん)することで、誤嚥性肺炎を引きおこす危険があります。阪神淡路大震災では 200名以上の方が、震災後に口腔清掃の不備や義歯の紛失などから誤嚥性肺炎になり亡くなっています。
★災害時の歯磨き方法
災害時には思うように水が使えません。歯ブラシがないときは、少量の水かお茶で充分に口をゆすぎましょう。この時、たくさんの水を一気に口に含むより、少量ずつ 2 回に分けてゆすいだ方がきれいになります。また、ティッシュなどで歯の汚れをふき取るのも効果的です。
歯ブラシがあるときは、通常通り磨くことができますが、歯磨き粉がなく、水も不足している時は、コップに少量の水を入れ、その水で歯ブラシを濡らして歯を磨きます。歯ブラシが徐々に汚れてくるので、ティッシュなどで汚れをふきとりまた磨く、を繰り返します。最後にコップの水で口をゆすぎます。
歯磨き粉がある場合は、普通に歯を磨いたあと、コップに少量の水を入れて、まず歯ブラシを軽く洗い、その水で口をゆすぎます。歯ブラシは毎回水分と汚れを拭き取っておきます。
★日頃から口腔ケアを。もしもの時に備えましょう。
日頃から虫歯や歯周病を放置していると、災害時にはさらに、お口の中が不衛生になりやすくなってしまいます。虫歯や歯周病の恐れのある方は、防災の日を機会に歯科医院へ!万一に備えてきちんと治療しておきましょう。なお、歯科治療中に被災した場合は、歯科医師の支援チームが避難所に到着したら必ず治療を受けてください。特に神経を取って治療中の歯は、痛みがなくても放置せず、必ず治療を完了させてください。

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