デンタルニュース

2013.10月号 特集:歯ぎしりについて

★歯ぎしりって何?
スポーツや重い物を持つときなど、思わず歯を食いしばっていることがあると思います。歯ぎしりはこれとは異なり、寝ている間など無意識のうちに上下の歯をギリギリとすり合わせたり、グッと食いしばったりすることを言い、専門用語では「ブラキシズム」と呼びます。歯ぎしりは、そのままにしておくと口の中のトラブルだけにとどまらず、顎関節症や肩こり、頭痛など様々な症状を引き起こします。歯ぎしりには、大きく 3 つの種類があります。
■上下の歯をすり合わせる(グラインディング)
「ギリギリ」と歯を擦り合わせる歯軋り。歯の磨耗を起こしやすいのが特徴で、歯がすり減ったり、歯のつけ根が削れる、歯がしみる、知覚過敏になりやすいといわれています。
■上下の歯を強く噛み締める(クレンチング)
「ググッ」と上下の歯を強く噛み合わせる噛みしめ。音が出ないので気づかないことも多いのですが、これは歯や顎に重大な影響を与えるので、問題が大きい歯ぎしりの一種です。
■小刻みに歯を鳴らす(タッピング)
睡眠中に、「カチカチッ」と歯を打ち鳴らすタイプです。発生率は低いといわれていますが、セラミックの被せ物や詰め物が割れる可能性があります。
★歯ぎしり、続けるとどうなる?
歯ぎしりは、睡眠中などに無意識に行っているので、“これ以上噛むと歯が壊れてしまう”という抑制ができず、結果として通常以上の力が加わることがあります。歯の詰め物や被せ物が何度も取れる人や、セラミックの詰め物や被せ物が割れてしまう人は、重度の歯ぎしりの可能性があります。放置すると、歯がこすれて摩耗していくので、次第に噛み合わせがいびつになり、歯並びまで悪くなってしまいます。また、顎関節症になったり、ひどい肩こりや腰痛などの症状が起きることがあります。インプラント治療をされた患者さまの場合は、人工歯にヒビが入ったり反対側の歯が割れたりすることもあります。
★歯ぎしりの治療法は?
実は、歯ぎしりは簡単に治すことができません。無意識のうちに噛みしめているわけで、背景には常に緊張を強いられていたり、強いストレスがあるなど、心の問題が引き金になっていることも多いからです。
歯科医院での治療は、写真のようなマウスピースを作り、睡眠時に着用していただきます。基本は上顎だけで、柔らかい素材なので、あまり違和感はないと思います。
保険適用です。これを装着すれば、美しいセラミックの被せ物や詰め物、インプラントをしても安心して就寝していただくことができます。早めに歯科医院で診断を受けましょう。

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