デンタルニュース

2016.5月号 災害時の口腔ケア

熊本と大分の大地震で被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
地震大国の日本では、どこで大災害が起きても不思議ではありません。避難生活でお口の中を清潔に保つことは、風邪や誤嚥性肺炎、インフルエンザの予防にもつながります。災害時の口腔ケアを学び、もしもの時のために備えておきましょう。
★水が不足しているときの歯磨きはどうするの?
肺炎やインフルエンザの予防の為に、少なくとも一日一回寝る前に歯を磨きましょう。水が充分にないときは、歯ブラシに歯磨き粉を少しつけて歯を磨きます。そしてたまった泡とだ液を吐きだします。次にうがいの水を少しだけ口に含んでブクブクとお口のなか全体にいきわたらせて吐き出します。口の中に歯みがきの味が残りますが害はなく、歯磨き粉にはフッ素が入っていますのでむし歯予防になります。歯ブラシがない時は、ハンカチやガーゼ、タオル、ティッシュペーパーなどを指に巻きつけて歯についた汚れをふき取りましょう。また、食後に水やお茶でうがいをし、食べかすを吐き出すことも清潔維持に役立ちます。
★入れ歯のケアは?
災害時、急いで避難をする時に忘れてしまいがちなのが「入れ歯」です。入れ歯がないと、うまく食事をとれなくなってしまったり、人としゃべれなくなる場合もあります。忘れないように避難の際の荷物のチェックリストに入れておきましょう。また、入れ歯をお使いの方は、必ず一日一回は口から外して丁寧に清掃しましょう。水がない時は、ウエットティッシュやおしぼりで丁寧に汚れをふき取りましょう。洗浄剤が手に入らない場合は、食器用中性洗剤で代用して洗うことも可能です。
★お口の乾燥
災害後は水が不足したり、トイレ事情で水を飲むのを我慢してしまったり、強いストレスを感じたりして、お口が乾燥してしまう方が多いそうです。水が飲める状況の場合は我慢せずに摂取すること。ガムがあれば唾液が出るように噛みましょう。マスクがあればマスクをして乾燥を予防する事も大切です。
また、被災時は食生活が不自由になりますが、食事が取れる時は、よく噛んで食べるよう心がけましょう。よく噛むことで唾液の分泌量が増え、口腔内を清潔に保つことができます。唾液腺のマッサージも効果的です。
★歯の詰め物や被せ物が取れてしまった!
外れてしまった歯の詰め物や被せ物は一応保管しておいてください。二次的なむし歯になっていなければ、ボランティアの歯科グループが支援にきた時に付けてくれる可能性があります。ゴミと間違えて捨ててしまわないよう、中が見えるビニール袋などにいれて保管しましょう。

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