デンタルニュース

2018.6月号 妊娠中の歯科治療、受けても大丈夫?

妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響を考え、歯科治療を受けることに慎重な妊婦さんが多いようです。
実は、妊娠中は口腔トラブルが起きやすくなるので、歯科治療を受けた方がよいのです。
★妊娠中は口腔トラブルが増える!?
妊娠中はつわりで口腔ケアが疎かになったり、間食が増えたり、酸味のある物が食べたくなったりするため、むし歯になりやすくなります。また、ホルモンバランスの影響で唾液の分泌が減るほか、女性ホルモンを利用して増える歯周病菌がいるため、歯肉炎になりやすく重症化しやすい状態です。
ある研究で、妊娠 37 週未満で生まれる早産、2500 グラム以下で生まれる低体重児の症例を調べると、歯周病が進行している妊婦が多くみられました。そのリスクはなんと歯周病に罹っていない妊婦の 7 倍以上。これは、早産の原因に挙げられる高齢出産・たばこ・アルコールなどより、はるかに高い数字です。歯周病菌がたくさんいると、母体は免疫反応として炎症性物質を作り出します。この炎症性物質が妊娠末期に産生される物質と似ているため、子宮の収縮が促され早産に繋がると考えられています。お腹の赤ちゃんのためにも、歯科治療はとても大切なのです。
★妊娠中の歯科治療は胎児に影響しない?
■歯科用麻酔
歯科治療に使われている局所麻酔は胎盤などを通して赤ちゃんに届くことはないので、全妊娠期間中使用可能です。麻酔を使わずに痛みを我慢する方がストレスが溜まり赤ちゃんに影響します。
■レントゲン
歯科用X線は、防護エプロンを着用し胸部から離れた箇所を撮影します。普通に生活し一年間に浴びる自然放射線量と比べて、デジタルレントゲンは 1/150、デンタルレントゲンは 1/50 のため、胎児への影響はほとんどありません。
★妊娠中の歯科治療の注意点
・母子手帳を持参しましょう。
・妊娠していることを医師に伝えましょう。
・体調が悪いときはくれぐれも無理をしない。
・なるべく安定期に治療を受けましょう。
きちんと配慮をすれば、妊娠中の歯科治療が安心安全なことをお分かりいただけたでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にはむし歯菌はいません。赤ちゃんには、お母さんや家族など、大人の唾液を介してむし歯菌が移るのです。ですから、出産までにお母さんのお口の中のむし歯菌を減らしておくことが大切です。生まれてくる赤ちゃんのためにも、しっかりとお口のケアをしましょうね。何か不安のある妊婦さんは、遠慮なくご相談ください。

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